単なる趣味としてのアマチュア無線がきっかけとなり、神戸の復興にささやかなお手伝いをしました。 私も会員である「JARL兵庫県支部」の阪神淡路大震災復興委員会は震災から1年後ボランティアに従事したメンバーの手記をまとめました。 52件の報告と提案はそのまま今に活用できるものも多く、改めて読み返しても決して風化するものではないことが判ります。 書き留められたその中で私の記述と、参考になる資料をご紹介したいと思います。 |
「阪神淡路大震災JARLボランティア活動従事者からのレポート」 『巻頭のご挨拶』 震災から1年以上を経過し、阪神間の街並みも整備され、人々の心にも余裕が出てきました。 しかしながら、震災で受けた傷跡は目に見えるもの見えないもの……今だに多くが手つかずになっているのも事実です。 私たちアマチュア無線家の活動の記録を残そうと原稿をお寄せいただきましたが、その後あまりにも多くの関連する記事や情報が発表されています。 少し熱気のおさまりかけた今、ボランティアに従事した人々からいただいたお便りを、何の意見も加えずにここに再現したいと思います。 発行が遅れた事をおわびするとともに、今一度あの日のことを思い出し語り継ぎ、将来に備えることができればと念願しています。 45日間にわたるJARL非常通信ボランティアに参加していただいたアマチュア無線家の延べ15,000名に及ぶ力は被災地への大いなる勇気づけとなったことはまちがいありません、心からお礼申し上げます。 平成8年夏 JARL兵庫県支部阪神淡路大震災復興委員会 JA3SHL秋田政廣(前JARL兵庫県支部長) JH3GXF安孫子達(JARL兵庫県支部長) JA3HXJ長谷川良彦(JARL関西地方本部長) |
アマチュア無線家からの提案 |
災害非常無線局の運用経過と解決しなけれぱならない諸問題と提案 長谷川良彦(神戸市垂水区) JA3HXJ ○JARL兵庫県支部の会員・役員の安否 1月17日5時46分地震発生。支部役員の安否は支部長JA3SHL秋田、赤穂市の自宅にて無事。副支部長JA3UM前田、西宮市の自宅半壊・親戚宅に避難。総務幹裏JG3RWX前川、高砂市の自宅で無事。会計幹事JG3QZN田中、神戸市西区自宅で無事。広報幹事JH3GXF安孫子、尼崎市の自宅で無事。教育幹事JE3JRK藤原、神崎郡の自宅で無事。企画幹事JH3DEJ奥、兵庫北部和田山の自宅で無事。技術幹事JR3KQJ中島、北部豊岡市の自宅で無事。前支部長JA3QYA川島、兵庫区の自宅部分破壊も無事。評議員JS3AFE増田、須磨区の自宅で無事。 しかしながら神戸市内ではいずれもの家も家屋内は家具、食器棚あらゆる物が散乱し大きな混乱を生じている。地震直後から支部会員の安否等の情報収集にはいったが、電話回線は全く信頼のおけない状態となり会員すべてが見通せる環境になく、一時確実な通信手段はささやかなアマチュア無線だけになった。 震災翌日18日夜明けに垂水区の避難所のアマチュアから電話を受けた。メインで無変調がでている。それよりJARLとして何か対策を考えているかとの問い合わせである。JARLとして何らかの対策を講じなければならないと感じていたものの身辺周辺の片付けに忙殺され、例外なく被災者の一人になった兵庫県支部会員として果たして何が出来るかの思いもあった。 JARL兵庫県支部は兵庫県庁消防防災2課の管轄する非常無線通信協議会のメンバーで、常任理事のポストを得ていながら今回何のアクションもなかった。 この組織は全く機能せず毎年行われた電送訓練の成果も全く生かされなかった。まさに訓練の為の組織であり実戦には対応できないものであった。 混乱のためかアマチュア無線の現状を知りすぎているためか定かでは無いが、協議会の会員であるにもかかわらず見向きもされないレベルにあった。 JARLは今後行政との接触を密にし、内にあっては地方本部と支部の関係と役割を再認識するとともに登録クラブの実態と能力を掌握しどの程度のレベルで協力可能かを日頃から知るべきである。 JARLとしても災害発生後地方本部長は直ちに災害対策に出向き何ができるかの打診を含め接触を試みるべきであった。 今回の市役所、県庁等の行政のアマチュア無線に対する評価と認識は予想を越える低さであり、神戸市役所にもアマチュア無線クラプがありJARLに登録されているものの何ら力になるものにはならなかった。 JARL兵庫県支部登録に登録されている64クラブからのサポートは全くなく、地震発生時からの情報提供やその後の非常通信の協力体制にも特筆すべき貢献に至っていない。 個が確立されたアマチュア無線組織の難しさの一つでもあり日頃の交流と意思の疎通などあらゆる点で連携の薄さを感じた。 ○災害発生時の状況と問題 1995年(平成7年)1月17日5時46分、地震発生直後から車で避難するためかモービル移動局の運用が多くなった。通信内容は道路情報など移動のための情報収集がほとんどであったようだ。 当日これらの運用を行った人の被害状況ははっきり判らないが通信内容から想像すると比較的軽微な被害であったと思われる。また当初は被災地以外の周辺地域から興味本位なワッチなども多かったのではないかと思える。 しかしながら断片的なこれらの情報をいかに蓄積しても災害全体を見通せるものとは程遠いものであった。結果的には家屋や人的な被害を受けた被災者はアマチュア無線など運用出来る状況になく、車で避難や移動が可能な比較的恵まれた人たちの通信が多く行われたのではないかと考える。 ビルの倒壊・道路の陥没・鉄橋の落下・高速道路の損壊等・時間とともに個々に状況が伝えられたが、真偽も確認できない個人の情報の価値はその当事者間にしか役立たない結果となった。 もしアマチュア無線の情報としてこれらを集約し、活用する方法があれば通信手段がすべて途絶えた今回の災害ではアマチュアがもたらす情報は少なからず初動救援に役立つ情報も多かったと思われる。 アマチュア無線という通信手段を持ちながら個人的な趣味からいつまでも脱却できず、社会的責任や社会奉仕の精神を意識の中に盛り込むことを忘れてしまった現状は見直す必要がある。 情報がなく被害の少なかった激震地周辺の人達はいつもどおりに駅に行って初めて交通機関の不通を知り事の重大さを悟った事もあり、当日の朝は誰も事態の正確な掌握が出来なかったと言うのが実情である。 狭い地域の中で情報を出すことも出来ず受けることも出来なかった事実が残る。 ○災害発生後のJARLの対処 JARLの対応は、連盟本部から連絡を受けた兵庫県支部役員が1月21日から大阪寺田町の関西地方事務局においてその後の対策を協議し活動を開始することになった。しかしJARLとは関係なく個人的に余裕のある被災地に住むアマチュア無線局は震災当日から素早く活動を開始しその後JARLと連携を持つ形となった。 遅かりしとも批判もあるが、対応の速い遅いを論じるより今後これらに関わる関係者がどの様な認識を持ちどう対応したかを検証しながら将来に備える必要がある。 JARLとして先ず会員の安否の情報収集を基本とし、平行してアマチュア無線を使った非常通信をどの様な手順で開始するかを被災規模や環境に応じて見極める作業から開始したが、現実は状況を見極めることさえ困難な状況で現地に行くしか方法は無かった。この作業を我々に委ねられたわけで、マニュアル無き現地との対応は避難所ごとにそれぞれ格差があり一律には対応できないことが多かった。 本格的な活動は、私を含めたJARL兵庫県支部の役員が中心となり会員の安否確認がほぽ終了した1月25日から始まった。地方本部事務局で200数十台のトランシーバに電池をセットし深夜から被災地に入り、8J3AAAから始まる無線局の運用が開始されたことになる。 神戸市は東西に長く南北に短い町で東から西へかけて市内一直線にJRの駅が14もある特殊な地形であり、そのため中心部の壊滅による東西の分断は我々の活動を含め復興にも大きな障害となっている。 実務的な行動を開始して感じたことはJARL会員に限らずアマチュア無線家の非常無線について充分な認識が不足していたことが見受けられる。組織として非常通信について結論がでるまで熱心に議論をしたことがないだけに、このような震災に対応出来るシステムは存在しない。今後はJARLとして統一した定義を確立しておくべきだと思う。 最も危惧するのはアマチュア無線そのものの社会的な認知度の低さで、遊ぴ以外の価値を持たないという評価が行政をはじめ一般に蔓延し災害発生後の非常無線局設置の障害となった。これは大いに考え直すべきで、社会貢献は将来のアマチュア無線の重要課題になると思われる。 今回は10以上の自治体が被災地域となり、すべてが想定外の出来事で行政としても初動体制が全く取れなかった。JARL非常無線局設置の折衝もこの行政が窓口になるだけに認識の格差が生じ調整に手間取った。 我々はこの現状を認識した時点で、行政の説得を後回しにしてすでに稼動していた個人レベルのボランティア組織や赤十字の奉仕団などと直接連携することを選択した。従って設置された延べ15以上の非常無線基地局は、とりあえずこれらの避難場所場所を線で結びエリアを構成することが出来たといえる。 活動を開始した時点では人命のサポートという視点から避難所の生活支援という課題に目的が移ったが、これを指摘して非常通信の是非論が持ち上がった。 生活支援とは救援物資の偏りやバランスを保つ輸送などの生活に直接つながるサポートなどにも多く利用されたことによる。一例を挙げると「風邪薬が足りないと・・」とテレビで報道されるとその避難所に全国から山ほど薬が届くが他の避難所には全く無いという現象が日常化し、これらの調整などにアマチュア無線が役だった。この点が過去の通信事例とは全く異なる最大のポイントである。 行政側と交渉が困難であった点は当初無線局を置くにも担当窓口が判明せず、ようやく捜し当ててもアマチュア無線は業務の障害になると設置を拒否されたこともある。事情が判明した後から行政側から詫びが入る一幕もあったが、一般社会から期待されていないアマチュア無線の現状を痛感した。 JARLは組織上、地方本部が設置されているが今回の場合責任者との連絡も円滑ではなく事務局の対応や被災地への配慮や支援行動に大きな不満が残っている。 兵庫と大阪という隣接する距離でもこの精神的距離感は相当なもので、その後全国から支援を受けたことを考えると距離の問題ではなく取り組みの姿勢の問題である感じた。 JARLは会長を頂点とする組織図は整備されているが、現実には地方本部は充分に機能しない面が多く組織図の完成度ではなく何んと言っても人が運営することによる人的な意識や責任感に及ぷ諸問題が課題として残る。 実、兵庫県支部長が関西地方本部長の指示を仰ぐため職場に電話を入れても会議中であるとの理由で長時聞電話の取次ぎもされず、やむなく地方本部を離れて独自に支部として活動を開始したのも事実で最後までこの状況が続いた。 地方本部としてこの震災に対しアマチュア無線として何ができるのかのためらいがあったかも知れないが、被災地では机上のプランや思考などは全く先に立つ状況ではなくまず行動しなければ何もできないし何も把握出来ないといえる。 我々と行政とのすれ違いが発生したようにJARL内部でもちぐはぐな事態が起こった。最前線で活動する地元としては後方支援だけが唯一の励ましであるはずだ。 行政無線が機能しなかった今回こそ数が力として存在するアマチュア無線がその真価を発揮するべきだったが、このチャンスを逃したことは残念なことである。数は力の理論は局数の多さだけではなく本来のアマチュア精神を兼ね備えた局を多く作ることに意味があることに気がつく。 ○非常無線局の現状 今回主に運用した430メガ帯での違法、不法局と思われる無線局の存在には事実うんざりするほど手を焼いた。ボランティアとして従事したアマチュア局やサポートしてくれたアマチュア無線局を知らないた多くの人にアマチュア無線の実体を暴露し、失望感を与える機会を多く作ってしまった。悔しいが情ない現状を公開することも多かった。 今回ほど不法局と思える妨害に対し怒りを感じたことはない。地元兵庫県支部から地方本部に対し電監に断固とした取締りを繰り返し要望した。地方本部長にも非常時であるのでせめて妨害には毅然と対処することをお願いしたものの、再三にわたる要望にたいして電話にて従来の要請をしただけと聞いた。事実このルートでの要請は何ら功を奏さなかった。この一つを挙げてもアマチュア無線の現状に対する諦めが組織の申に蓬延していることが理解できる。 妨害に対処するため止むなくアンテナ等の設備を充実させたが、これに合わせて相手もパワーアップで対抗してくると言う悲惨極まりない状況であった。 このようなアマチュア局を多く抱えた現状に対して何も対処できないJARLの体質が益々現状を悪化させているように思える。人命に及ぷ事態が発生した場合、今後同様なことが起こるとアマチュア無線の信頼は根底から消滅するという危機感を抱いている。どうすれば重い腰が上げこれらに対応出来るのか興味深いものがある。 不法局の余りのひどさに業をにやした被災地兵庫県支部はたまりかねてJARLからの要請を諦め電監へ直接対処を依頼した。このため監視がようやく動いて追跡劇を演じることになった。これらは一時的な妨害抑止になったのは事実である。要するに継続的にこれらを押し進めることができれば相当な効果があることは事実である。 JARLは今後本気でこれらと取り組む準備があるのか、実務をつかさどる監査指導委員会がどの様な働きをしたのか不法局対策委員会がどの様な実践をしているのか、これらは本件の落着後調査しなければならない課題として残る。 JARLが重要課題として取り組んできた周波数の拡大と防衛の努力はそれなりの評価ができるが、アマチュア無線のバンド確保や容量ばかり気を配りだけでなく、資源であるアマチュアバンドの内部浄化を怠ったため汚染された異物の処理に困惑し続けることになっている。 JARLの周波数防衛とはいったい何であるのか、境界線の線引きの宣言だけし内部には手をつけなかった現状に対する失望感が残る。 今後は外に対する数の力の理論を、内に対する秩序の維持や浄化に向けるべきである。遅すぎるきらいはあるが今こそ真面目に取り組まねばアマチュア無線の社会的認識はさらに悪化し挽回のできない悲惨なものになるのは誰の目にも明らかである。 不法無線局対策委員会の答申をみても方向性の具申と精神論の提案だけで現状の打開につながる内容ではない。確認したところ不法無線局に対するJARLの取り組み方を模索するのが不法無線局対策委員会であり、実務は監査指導委員会が努めているとの説明を受けた。 監査指導のありかたについては従来から疑問に思う事が多いが、実務に従事し評価に値する成果を挙げたことがない委員会が対策をやっていると回答するJARLの公式回答は事務的でしかない。 不法無線局対策委員会が現状改善とほど遠い答申を出し、監査指導委員会が積極釣に活動しない事実を理事会はどう受け止めているのか知りたいものである。実践の具体策のない提唱はJARLの発展に有効に作用するものではないと思う。 この災害に際し前代未聞の数のマスコミが被災地に入り取材を続けた。当然アマチュア無線の非常通信の取り組みについても多く取材がなされたが、非常通信の中で聞こえる妨害局の実態に驚き放送されなかった事も多かった。 恥ずかしさだけでなく善良なアマチュア無線家の虚無感はさらに増幅されると思う。この現状を改善するのは大きな犠牲を払った今回の災害がチャンスであり次の好機を待つわけにはゆかない。 ○ボランラィアとアマチュア無線 阪神淡路大震災に活躍したボランティアの話題に事欠くことがない。今回のJARL非常無線局にも多くのボランティアの申込みを受け事務局で受け付けた者400名、事務局を通さずに直接現地に入った者を加えると600名を越える規模の人数となり記録破りである。 当初アマチュア無線のオペレーター募集といった新聞報道がなされたが、実際にはオペレーターのポランティアは余り必要なくポランティア本来の精神を持ち備えた人達が必要であることが判ったこともこの災害が教えてくれた教訓とも言える。 現地のトラブルの一例を挙げるとヘッドホーンを掛けてリグの前に座っているだけのアマチュア無線の姿が物資の搬入に必死で取り組んでいるボランティア達に好意的に受け止めてもらえなかったことである。 応募の600人が無線機の前に座り込んでいる姿を想像すれば言わんとすることがおわかり頂けると思う。現場は混乱で殺気だった戦場のような状況であった。JARLがアマチュァ無線の社会的な奉仕の実践を置き去りにしてきた結果ボランティア個人の意思を充分に生かす機会を逸した面も見受けられた。 当然機能すると考えていた兵庫県支部の登録クラプもこれら活動に積極的に従事した事実はなくアマチュア個人の申込みが殺到し、登録や連絡作業といった事務処理に大きな労力をとられ事務局の混乱に拍車をかけた。ボランティアとはそもそも誰かに問い合わせて始めるもの出はないという事を体験させたことも過去とは異なることである。 小さな一地方の事務局に数百名のボランティア応募者を振り分ける能力などあり得ないし、JARLが今後このような規模を想定した準備をどう始めるかを見極めたい。 またJARL登録クラブの意味と何故クラブの登録制が存在しているのかを考え直しクラブのあり方やJARLのクラブ育成指導を計る制度を作らねぱならない。 今後の対応と改善すべき点 ○ アマチュア無線局130万局の数の力を活用して、JARLの情報収集システムを整える。支部から地方本部・連盟・会長・専務理事に正確な情報を伝達する通信ルートを組織内に作る。 ○ JARL組織内部の非常用連絡回線は有線・無線・データ通信等アマチュアとして利用可能なあらゆる情報伝達ネットワークを想定し構築する。 ○ 局地的な情報収集体制を支部単位で確立し、伝達方法の整備と実践をはかる。 ○ 公益性の主張の裏付けとなるアマチュア無線の社会的認知の獲得しなければならない。 ○ 常無線に対するJARLの統一見解と会員への積極的な呼びかけをおこなう。 ○ 地元自治体と日常的な接触と連絡体制の整備をおこなう。 ○ JARL理事の災害時の職務の明確化と果たすべき義務の確認。責任者不在時の組織の応援体制の確立をはかる。 ○ ボランティア活動の基本精神とアマチュア無線がかかわる業務とのすり合わせの確認をする。 ○ アマチュアバンドの非常通信周波数の設定とアマチュアによるバンドの保護、防衛を図り定期的な通信訓練機関の設置を目指す。 ○ 非常通信における通信妨害に対し徹底的な取締りを実行する。 ○ 連盟内に操作性の容易な非常無線通信機器を常備し緊急時の搬送体制を確立する。 ○ JARL登録クラブの定義を見直し、支部直轄のJARLアマチュア無線奉仕団の結成及び近隣支部とのネットワークの整備をはかる。 ○ 会員側から常時取り出せる情報提供システムを有線、無線で整備する。 ○ 周波数防衛は、各アマチュアバンドのスポット周波数の浄化から始まることを積極的にPRすること。 ○ JARLに職業別ボランティアセンターを設置し、会員登録、運営業務を開始する。 ○ 監査指導委員会の見直しと不法局対策委員会の実務作業の調整をはかり実効ある取り組みを開始する。 まとめ この災害はすべてにおいて想定を越えるものと発表されているが現実に起こったことで幻想ではない。遅ればせながら我々はJARLの代表として諸々の対処をしてきた。震災前年のJARL神戸総会に続き兵庫県支部にとって大きな労力を強いる災害であったため支部役員の疲労は大きい。 場はアマチュァ無線は所詮遊びである、とか非常無線など必要ないなどの議論に加わる時間も存在しなかった。又逆に幻滅と失望を抱きながらも傍観者を決め込むことすら出来ない状況であった。 正直このボランティア活動に従事し自らの生命も多くの犠牲者の後を追いかけて消滅するのでは無いかと思ったことが何度もある。なぜそこで止めなかったと考えると、とにかくやり遂げねぱならないというある種の使命感だけがみんなを揺り動かしていたと思う。 JARLには災害に対処するマニュアルが無い為に全てが現場あわせの作業となり、全体が見渡せないままにスタートしたことがこの事業の困難さであった。この非常無線局支援に対してもJARL会員の中にも従来の記念局の運用程度に受け止めていると思われる者が多かったのも事実である。 これはイベントでもなく、記念局でもなく明らかな災害救援活動の一環として実際に動いた事実でもある。この教訓によりJARLの組織上改善を図らねばならない諸問題を浮かび上がらせてくれた。 我々はこの阪神淡路大震災の事実を真剣に受け止めて速やかに改善をはかり今後の作業を開始することが望まれる。何年かたってこの記述に触れることがあればJARLがどのように進歩したかが明確になると思う。 今回の経験をタイムカプセルに託して埋めるのではなく、広く公開しながら議論することを望んでいる。 |