岩田碧水先生をご紹介します
岩田碧水(いわたへきすい)先生とわたし 岩田碧水先生とは、奥様とのご縁が最初で、子ども達がお世話になった学校がきっかけでした。 私と同じ団塊の世代ですが、お酒が入っても篆刻の話題になったこともなく、この世界において多くの賞を受けた方とは全く知りませんでした。 そんなきっかけで、わざわざ私の篆刻印「了」のデザインをお作りいただきました。この文字はすでに大小の朱文印となって私の象徴的なツールになっています。 先日、この文字についてある人から聞かれたことがきっかけで、そういえば作者のご紹介がなかった無礼を反省し、この紙面で碧水先生の横顔とごく一部の作品をご紹介することにしました。 左にご紹介する作品は私が先生から頂戴したもので、大切にしているものです。 先生の篆刻にかける願いは、スケッチや水彩画のように気軽に壁に掛けて楽しめるような作品を手がけてゆきたいとのお話です。 ここで篆刻ってなに?やお預かりした作品の一部を先生の資料の中からご紹介します。 ご意見やご感想などいただけましたら嬉しく思います。〈長谷川了、記〉 |
先生からいただいた私の愛用印 |
略歴 岩田碧水(本名:澄雄) 昭和22年・神戸市生まれ 師 : 岡本柿黄 平成14年第37回兵庫県書道展・特選 平成16年第39回兵庫県書道展・特選 現在:兵庫県書作家協会・会員 作品づくりでのねらい 力強く・美しく・清々しい感じを与える作品づくり、専門家でない一般の方々に興味を感じて鑑賞していただける、水彩画やスケッチのように壁に掛けて頂けるような作品を目指しています。 |
篆刻について 1 篆刻とは (1) 印を刻ることをいいます。印章の一つです。 (2) 文字には種類がありますが、とくに篆書(漢字の最古の書体)を刻るので篆刻といいます。 (3) "書"の一分科で、印の実用に併せて芸術性としての「美」と「個性」を追求します。 2 篆刻のはじまり (1) 古代中国で誕生しました。B.C.3世紀頃、春秋戦国時代に始まったようです。 (2) 漢代に紙が発明される以前、文書や手紙は木竹簡に書かれ、これを封じるために縄の結び目に粘土を加えて印を押しました。これを封泥(ふうでい)といい印の始まりとされています。封泥は3世紀・三国時代まで用いられたようです。 (3) 日本では、随、唐の制度に倣って701年大宝令(たいほうれい)で印刷が始められました。 3 印の種類 (1) 印には白文印と朱文印があります。 (2) 白文印とは文字が凹形で、封泥の印は白文です。古印は白文が多く、有名な金印「漢委奴国王」は臼文印です。 (3) 朱文印は文字が浮き出る凸形で、5世紀・南北朝時代の末期から紙に朱で押すようになってから多くなったようです。 4 印に刻られる文字・篆書 (1) 篆書は、今から約3,500年前B.C.14世紀・殷代の甲骨文に始まって、B.C.6世紀・周代の金文、B.C.8世紀・秦代に秦篆(小篆)が誕生することに由来した文宇です。 (2) 秦篆から隷書が生まれ、さらに漢代になって草書・行書・楷書の各体ができました。("かな"は、日本に漢字が伝来して草書から生まれました。) (3) 篆刻に刻られる文字は、現代では篆書だけでなく楷書、かな、ローマ字もあります。 5 印材 (1) 古くは金属(金・銀・銅)、獣角、象牙、木などが用いられていました。 (2) 漢代以降は印石材が使われるようになり、現代に至ります。 (3) 現代は中国産の印石材を用いるのが主ですが、木印の作品もあります。 6 印の用途別種類 (1) 大きく分けて官印と私印の二通りです。 (2) 私印の種類は多く、研究者によっても分け方や呼び方が異なるようです. (3) 用途別に主なものを挙げますと次のようになります。 @ 姓名印:姓のみ、名のみ、姓名を刻した印。 A 表字印:"宇(あざなプを刻した印。 B 雅号印:"雅号"を刻した印。 C 引首引・押脚引:書画作品の冒頭や下脚部に押すために、詞句を刻した印。 D 室名印:自分の書斎に斎・堂・庵などの名を付けた印。 E 住所印:自分の住所を記した印。 F 紀年印:十干十二支の年歳を記した印。 G 収蔵印・鑑賞印:自分が収蔵したり、鑑賞した書画・書物などに押す印。 H 詞句印:自分の好みの詞句を刻る鑑賞用の印。"書"の展覧会で作品とされるのは詞句印です。 |
篆刻の原本になる篆書の一部です。 | |||